月40時間の短時間勤務は障害者雇用でできるのか?

障害者雇用の求人を確認すると、最低週20時間以上、月間に換算すると80時間以上の求人がほとんどです。これはなぜでしょうか?もし週10時間程度しか働けない場合は、障害者雇用で働くことはできないのでしょうか?

なぜ20時間未満の求人がない?

そもそも企業が障害者雇用を行う大きな理由は障害者雇用率を満たすためです。障害者雇用率を満足していないと、障害者雇用促進法に反するものとして企業名を公表される場合があります。

では障害者雇用率を達成するためには、どのような方を雇用していけばよいのでしょうか。障害者手帳を持っている人であることは前提ですが、一定時間以上勤務する人でないと雇用率を向上させるための人員としてはカウントされません。


2024年3月までは以下の方が対象となります。下表では人数を記載しています。これは雇用率をカウントする上で勤務時間の長短や障害の重さにより、人数を0.5人〜2人の扱いとしているためです。

障害種別/週所定労働時間30時間以上30時間未満
20時間以上
20時間未満
身体障害・知的障害(重度)21対象外
身体障害・知的障害(重度以外)10.5対象外
精神障害(重軽問わない)11or0.5対象外

表から読み取れるように20時間未満の場合は、障害者雇用率に反映されることはありません。
反映されない以上は、障害者に限定をして雇用をする意味は無くなります。その理由により、20時間未満の障害者雇用の求人は現段階では存在しません。

2024年からはどのように変わっていく?

しかし、障害者雇用率のカウントは2024年4月から赤の部分が変更となります。

障害種別/週所定労働時間30時間以上30時間未満
20時間以上
20時間未満
10時間以上
身体障害・知的障害(重度)210.5
身体障害・知的障害(重度以外)10.5対象外
精神障害(重軽問わない)11or0.50.5

この改正で重度の身体障害者や重度の知的障害者、全ての精神障害者は週10時間以上の勤務であれば、障害者雇用率にカウントされます。これは対象である障害者について、長時間勤務が就労を妨げる要因となる傾向が強いことによります。
重度以外の身体障害や知的障害は、法改正の対象とはなっていません。

よって、10時間以上〜20時間未満の障害者雇用の求人も登場する可能性が出てきます。

週10時間程度の障害者雇用の求人は出てくる?

理論上は、週10時間程度の障害者雇用の求人が出ている可能性はあります。
ただし一部の障害者のみが対象となるため、イレギュラーな募集となります。

基本は20時間以上を所定労働時間として、相談により10時間から設定も可能とする募集という形で登場するものと思われます。これまでも例えば30時間以上の勤務を基本として、20時間の短時間勤務を相談により応じるという募集がありました。これを踏襲するものです。よって、直接10時間以上20時間未満を所定労働時間として設定している求人を探すのではなく、相談に応じられそうな求人を探す形になるかと思われます。

また現在も一般雇用という形で10〜20時間の所定労働時間で働いている場合は、障害者雇用へ切り替えも検討してみてください。また、一般雇用の求人に障害をオープンにして応募し、障害者雇用にアレンジしていただく方法も考えられます。

週10時間程度の障害者雇用で恩恵を受ける人

これまでは週10時間〜20時間の勤務では、一般雇用の形でしか事実上の勤務できませんでした。障害者雇用の選択肢も出来ることにより以下の恩恵が受けられます。

・重度障害や短時間勤務しか出来ない方も雇用されやすくなる
長い時間の勤務で体調の悪化が懸念されるということで、雇用が難しい方も新たな雇用の機会が生まれます。また、少しずつ勤務時間を増やしていくというステップアップもいきなり週20時間からでなく週10時間からチャレンジしやすくなるのもメリットです。

・短時間勤務とその他の配慮事項の両方を受けることができる
短時間勤務の他に、配慮が必要となるケースがあります。例えば、精神障害者が業務内容や量の調整や優先順位をわかりやすく提示していただくなどの配慮を同時に受けることをしやすくなります。

・年金申請時に障害者雇用として申請することができる
一般雇用か障害者雇用かにより年金の受給判断が左右されることがあります。
短時間勤務の一般雇用の方が年金申請が却下され、フルタイムの障害者雇用が年金を受給できるケースもあります。短時間勤務で本来は一般雇用でなく障害者雇用でないと就労が厳しいケースがあります。このような場合に、障害者雇用として年金申請をすることができることとなります。

まとめ

10時間以上20時間未満での障害者雇用が、2024年4月以降は実現します。

このことにより、重度障害や精神障害の人は、短時間労働と障害の配慮事項の両立を実現することができます。このことで、短時間勤務による就労のチャンスが拡大します。

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