障害者雇用で就職するにあたっては、働き方(仕事内容)と年収は重要視する人が多いと思います。求人を見ると、仕事内容や年収の傾向があるとように見えます。そこで発達障害の私から見て、これまでの転職活動で見てきた求人からどのような傾向があるのかまとめてみました。
これまで4回転職活動をしてきた私
これまで私は4回障害者雇用で転職活動をしてきて、その都度求人を眺めて見ていました。発達障害者で事務をメインに仕事を探しました。その際に年収と仕事の内容にある程度傾向があるように見えました。ただしあくまで発達障害で事務を中心とした仕事を見ていました。障害の種別や希望する職種によっては、傾向の見え方に違いがあることには留意してください。
年収のレンジ
今回は4つの年収レンジを分けて説明したいと思います。
- 年収200万円まで
- 年収200万円〜300万円
- 年収300万円〜400万円
- 年収400万円以上
1.年収200万円まで
この年収の場合、フルタイムではなく短時間勤務あるいは週何回かの勤務になるかと思います。
よくある勤務時間は、6時間勤務で週5回の勤務で週30時間の勤務。
週30時間で勤務の場合で時給は各都道府県の最低賃金の平均値に近い1,000円とする場合、年収162万円ほどとなります。時給での勤務が基本です。
この年収で多い求人は、パートの清掃スタッフやメール室業務などの軽作業系、事務所内での庶務が多い傾向にあります。仕事内容の関係で出社して業務をこなすことが多いと思います。
2024年4月から10時間以上で障害者雇用率のカウント対象となることがあります(重度障害あるいは精神障害)。よって、今後は年収50万円前後の障害者雇用の求人が登場する可能性もあります。
年収200万円〜300万円
この年収では、フルタイムの契約社員や嘱託社員として勤務することが多いです。月収としては概ね17万円〜20万円であることが多いです。賞与も年2回で合計2ヶ月程度の支給があることがあります。
17万円で賞与支給がない場合は、年収204万円となります。
20万円で賞与支給が年2回計2ヶ月がある場合は、年収280万円となります。
同じ嘱託社員や契約社員で同じ勤務時間や似た仕事内容や難易度でも、求人によって金額のばらつきが大きいレンジだと思います。204万円と280万円では、1.4倍ほど年収が違います。
この年収での求人は、清掃スタッフやメール室業務などの軽作業系は200万円までのレンジに比べて求人は少なくなります。その代わりに、事務所内での定型的な事務処理やデータ入力を中心とした一般事務や庶務のような仕事が多くなります。また、特例子会社での求人もこの年収レンジの求人が多いです。ただ、事務であっても軽作業を伴う業務や随時指示を受けながら仕事をするからか、2022年に転職活動をした地点では在宅勤務の案件はそれほど多くなかったイメージです。
年収300万円〜400万円
この年収では、フルタイムの契約社員が比較的多いです。ただし、一部正社員の求人も出始めます。
おおよそ大卒の新入社員の年収に近い金額となります。
例えば、月収23万円で賞与が年4ヶ月支給であると仮定すると、年収368万円となります。
この年収では軽作業系の求人はなくなり、事務系の業務が多くなります。事務アシスタントや経理などの間接部門スタッフのメンバーとして働くことが多いです。また、初級のITエンジニアや社内エンジニアの求人も散見されます。
年収200万円台までとは異なり、就労経験やスキル(PCスキルやコミュニケーションスキルなど)で求められるものが多くなります。就労経験が少ない方は、就労移行支援などでの周到に準備することも検討してください。
多少の就労経験やスキルが求められることもあり、このレンジからは在宅勤務がある求人も増えて来ます。これは1人で仕事が回せること、軽作業系の業務がないことが理由だと思われます。
年収400万円以上
この年収では、正社員での求人が大半です。ただし障害者雇用での正社員求人は社会人経験のある身体障害の方を想定しているものが多く、その枠に精神障害者や発達障害者が入り混んでいくのは容易ではありません。ただし全く希望がないわけでなく、以下の条件を満たせば満たすほど入り込んでいける余地があるおもいます。
- 特定の職種の経験が一定年数(概ね5年)以上ある
- 専門性のあるスキルや資格を保有している
- 平均年収の低い職種や業種ではない
- 障害の状態が安定していて、配慮負担が少ない
経験やスキルを要する点は、年収400万円以上の求人では一般雇用でも同様に求められます。そもそも平均年収の低い業界では一般雇用で経験者でも年収400万円に満たない事例もあります。転職活動を進めるにあたっては、一般雇用の求人に近い基準で比較検討をしていくことになると思います。
職種は多岐に渡りますが、一般雇用に比べて事務系が多い傾向にあります。仕事内容は経験やスキルを求められるものが多く、一般雇用の方と同じ仕事をしたり同じ水準で評価を受けることが多くなります。その分、受けられる配慮事項も限定的となります。
障害者雇用の場合は、同じ会社で経験を積んでも昇給・昇給のチャンスは少ないです。会社内の障害者雇用の年収レンジが決まっているケースがあるからです。年収を上げるためには、転職が一般雇用に比べて有用です。同じ障害者雇用でも年収のレンジが高い会社に転職することで、年収を上昇させられます。
まとめ
年収が上昇していくにつれて、軽作業系から事務、更にスキルを要する職務と仕事内容が変化していきます。また年収200万円前後がフルタイムか短時間勤務かの境界となる年収といえます。
障害者雇用の求人におけるボリュームゾーンは年収250万円から350万円かと思います。経験の浅い人でフルタイムを希望する方は、このボリュームゾーンの求人から自分に合った仕事を探すのが望ましいと思います。
また、在宅勤務ですが年収が上がるほど出来る可能性はあるように思われます。ただし、1人で仕事をある程度回せること、仕事の管理ができることが前提となリます。