障害者手帳を持っていることで保育料が安くなることがあります。今回は、保育料の決まり方と保育料が障害者手帳によりどのように優遇されるのか説明します。
保育料はどのように決められる?
子どもの年齢によって、金額が異なります。
- 3歳以上のクラス→無償(国の無償化施策、給食費は有償)
- 2歳以下のクラス→前年の住民税の所得割から保育料が決定される
ここでいう年齢は、その年(3月までは前年)の4月1日時点の年齢になります。そのため、8月に3歳になった子供は翌年の3月までは2歳以下のクラスとなります。
2歳以下の保育料は、端的にいうと前年の両親の合計所得で決まります。正確には、市町村民税の所得割の金額によって決定されます。例えば、横浜市の場合には下のリンク先にある利用料金表により保育料の金額が決定されます。
利用料(s保育料)の決定および副食費の免除対象の決定方法
毎年の住民税は6月に決定されるため、その年の保育料は8月ごろに決定されることが多いです。
障害者手帳による保育料の減額と免除
2歳以下の保育料はひとり親や障がいを持っている場合で一定の所得以下である場合に、減額や免除されることがあります。市町村では「ひとり親世帯等に該当する場合」として案内していることが多いです。
保育料が減額や免除される基準は、市町村税の所得割の金額が77,100円以下と設定されていることが多いです。給与収入に換算すると、夫婦で概ね年収300万円台後半までが該当します。ただし、配偶者の片方が収入がない場合や障害者である場合などは、配偶者控除や障害者控除を受けられるため、400万円台前半でも対象となることがあります。
具体的な保育料のシミュレーション計算
ここでは具体的に2つのケースを挙げて決まり方を説明します。
ケース1
夫 障害年金 年間150万円 (妻の扶養かつ障害者) 妻 給与 年収430万円 子供 1歳
まずは夫の収入を見ます。夫の収入は障害年金のみです。ただし、障害年金(基礎年金・厚生年金ともに)は、課税対象となる収入ではありません。よって、夫の収入は保育料の支給に影響しません。
次に妻の収入を見ていきましょう。妻の収入は給与です。給与からは社会保険料と所得税が控除されています。この収入ではそれぞれ65万円と8万円がおおよその金額となります。
住民税シミュレーションシステムを利用するとおおよその住民税を確認することができます。
「住民税 シミュレーション」とお住まいの市町村を合わせて検索をすると、お住まい町のシミュレーションサイトが出ます。
横浜市の場合は以下の結果となりました。保育料に用いる住民税を出す場合は、「旧制度」のものを用います。
税額 | 市民税 | 所得割額 | 76,500円 |
均等割額 | 4,400円 |
この場合、所得割の金額が77,100円にギリギリ満たないため、夫が障害者手帳を保有していることで保育費が減額されます。通常は16,500円の保育料が3,200円に減額されます。
ケース2
夫 給与240万円(障害者) 妻 給与240万円 子供1歳
双方共に年収が240万円です。この年収では社会保険料が30万円、所得税3万円がおおよその金額となります。夫と妻の住民税は下の通りとなります。夫の方が障害者控除があるため、少々安いです。
税額 | 市民税 | 所得割額 | 34,800円 |
均等割額 | 4,400円 |
税額 | 市民税 | 所得割額 | 50,700円 |
均等割額 | 4,400円 |
2人の住民税を合計すると85,500円となり、障害者手帳による保育料の減額は受けられません。よって、20,4000円がそのまま保育料として加算されます。
どのようにしたら保育料が安くなる?
保育料を少しでも安くしたいものです。ここでは、市町村民税の所得割を安くする方法としていくつかピックアップします。
- 国民年金保険料や国民健康保険料の納付
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入
- 生命保険料や医療費控除の申告
ふるさと納税や住宅ローン控除が節税の方法としてはよく知られていますが、保育料を安くする方法としては有効ではありません。なぜなら、保育料を計算するのに用いる税額がこれらの金額を引く前のものを用いるからです。
まとめ
シミュレーションから前年の世帯の給与収入がおおよそ400万円台前半のご家庭は、障害者手帳による保育料の減免を受けられる可能性があります。障害年金を受け取っている方も給与収入が低ければ、同様に保育料の減免を受けられる可能性があります。
一度源泉徴収票や給与明細を見ながら、おおよその保育料がいくらになるかシミュレーションしてみてください。